答え合わせ

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蒼さんは小さな声で囁く。 「あの日、だよね?」 「うん……。あの日だけだけど」 「俺、避妊したけど?……他にオトコでもいるのかい?」 「え」 「まあ、いいや」 「ま、まあ、いいやって、何?」 「他にオトコがいてもいいや」 「い、いない…っ。私には蒼さんしかいないっ!」 「いないなら、尚更いい。でも……検査した?病院には行きましたか」 「行ってないです……」 「じゃあ、想像妊娠か」 とんでもないことを蒼さんは言った。 「優乃さんは俺の子供を欲しいと願い、妊娠したと想像しているということですね」 「え、えええええええ?」 そうはっきり言われて、私は真っ赤になった。 しかし逃げようにも逃げられない。 蒼さんは私の体をベッドの上で覆っている。 「……妊娠したくなるほど、俺を好きってことでしょうか?」 「う、うわ」 「俺はあなたを妊娠させたいほど好きです」 「ちょっ、ちょっと蒼さんっ」 私は真っ赤になり、ぎゃあぎゃあと騒ぐ。 蒼さんは嬉しそうに笑った。 「……あなたの子供、早く欲しい。今すぐ欲しくなった」 「え、えええ?」 「優乃。俺に“愛してる”は言ってくれないのかい?」 「え……あの……。あ、愛……し」 けれどもその先は別のところに尋ねられてしまった。 「……あっ……」 「あなたは無垢なのに」 くすりと蒼さんは笑う。 「感情豊かな躰をしているね」 「ば……ばかぁ」 「優乃。愛してる……。Vuoi Sposarmi?」 「……え?」 私は聞き返した。しかし蒼さんはその唇をそっと吸う。 私が息を止めると、ほら、というように隙間を作る。 呼吸を合わせるように、ゆっくりとキスをされる。 少しイタズラ気味で、優しくて…… ちょっと強引で甘えん坊で…… クールに見えて情熱的……。 その口づけは、蒼さんそのものだった。 「……蒼さん……」 蒼さんは私が呼びかけると、私の言葉をすぐに食べてしまう。 「……蒼さんっ……」 必死にしがみつくと、すこしゆるめて私を焦らす。 なのに、いざ愛してると言おうとすると、一気に攻め込み、私を溶かしてしまう。 何も考えられなくなった私を激しく抱くのだ。 やがて二人の体は共鳴しあう。 響きあう歓びの鐘のように私と蒼さんの体は鳴り響いていった。 【完】
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