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琉菜は自分の家を歓喜の眼差しで見た。琉菜にとっては半年ぶりの帰宅だ。
「ただいまー」
琉菜は中に入った。何か凄まじい物音がして、ドタバタと母親が玄関に出てきた。
「琉菜…なの?」
「うん。ただいま、お母さん」
祐子は目にいっぱい涙をためて琉菜を抱き締めた。
「琉菜!どこに行ってたの!?心配したのよ!お母さんはあなたが誘拐されてこ、殺されちゃったのかと…でもよかったわ!琉菜が帰ってきてくれて!怪我はない?」
「うん。お母さん…あたし、帰ってきたよ」
琉菜も涙を流した。
あたし、帰ってきたんだ。
ただいま。あたしの時代。
琉菜は一部始終を説明した。祐子は何も言わず、ただ琉菜の話を聞いていた。
「そう…大変だったわね」
全て話し終わったあと、母は静かにそう言った。
「信じてくれる?」
「もちろんよ。自分の娘を疑うわけないじゃない。それに、その格好見たら余計にね」祐子は琉菜の着物を指した。
「すごいわ。本物の新選組にいたなんて。本物の土方さんに会えたなんて本当に羨ましいわ。やっぱり実物はイケメンだったの!?」
「イケメン…なのかなぁ」
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