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「長州は敵、攘夷は異国打ち払い!」土方はイライラと答えた。
琉菜はなんとなくわかったようなわからないような微妙な気持ちになっていたが、これ以上追求しても無駄だというオーラが土方から出ていたので黙りこくった。
「まあとにかく琉菜さん。仕事はお鈴さんによく教わって、がんばって下さい」近藤が朗らかに言った。
「すぐ慣れますよ」沖田が続いた。
「ありがとうございます。精一杯働かせてもらいます。」
琉菜は鈴の方に向き直った。
「お鈴さん、よろしくお願いします」
「へぇ、こちらこそよろしゅうな」
「で、隊のやつらには何て言う?」土方が切り出した。
「そうなんだよなぁ。未来から来たと言っても全員が信じるとも思えないし」近藤が首を傾げた。
「信じる信じないはやつらの勝手だ。だがな、信じないやつが『そんな話を信じるなんて』と局長への不信感を抱いたら危ない。1人2人ならまだしも10人20人となってくると隊の結束に関わる」土方は眉間にシワを寄せた。
「中富さんですよ」沖田が口を出した。
「中富さんにだけ事情を話して、生き別れたお兄さんってことにして。琉菜さんは最初からこの時代の人だってことにしましょうよ」
土方は沖田を見て、不敵な笑みを浮かべた。
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