565人が本棚に入れています
本棚に追加
/221ページ
琉菜が同じ髪型にしたら見分けはつかないだろう。
そして途端に琉菜は声の正体がわかった。
それは彼女自身が発している声。
自分で聞く自分の声は、外に発しているそれと微妙に異なる。
それゆえに、すぐには気づかなかった。だが、つまり近藤らにとっては2人はまるきり同じ声だということになる。
総髪を髷に結った少年は、同じく琉菜を見て目を丸くした。
2人の唯一違う所と言えば目くらいだった。
恐らく今までにいくらか死線をくぐってきたのだろう。中富の目は琉菜にはない鋭さを宿していた。
「中富くん、まずは座りなさい」
近藤に言われ、中富はぎこちなく近藤と沖田の間に座った。
沖田が琉菜に目を向けた。
「琉菜さん、こちらは一番隊隊士の中富新次郎さん。中富さん、こちらは琉菜さん。一応、今日から新選組の賄い方…なんですけど」
「なんですけどって、なんなんですか!?この女…」中富はまじまじと琉菜を見た。
「お前の孫の孫みてえなもんだ」土方がぶっきらぼうに言った。
「は!?」
「つまりですよ、未来から来た中富さんの子孫の方…というわけで」沖田が言いにくそうに言った。
「沖田先生、言ってる意味が全っ然わかんないんですけど」
「あはは、ですよねぇ」
最初のコメントを投稿しよう!