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沖田は先程近藤らに説明したのと同じように語って聞かせた。中富は口をぽかんと開け、最終的にはあんぐりと言った方が近いくらい開いた。
「こいつが…?オレの、し、子孫?」
「まあ、なかなか信じがたいと思いますけど…」沖田は苦笑いした。
「中富さんは、今日から琉菜さんの生き別れたお兄さんってことで」
「はい!?」
土方が口を開いた。
「全員に未来がどうのという話をする気はない。それなりに事情がねえ限り女を入れるわけにもいかねえし。こいつは訳あって身よりがなくなり、唯一の肉親である兄を頼ってここまで来た。どうだ?」
「どうだって…」
「お願いしますよ中富さん」沖田がすがるように言った。
「お願いします!」
全員が琉菜を見た。琉菜は頭を下げた。
「あたし、他に行くところがないんです。中富さんの協力が必要なんです!」
中富は琉菜を見、しばらく黙り込んだ。
そしてふぅ、と息をついた。
「しょうがねえなあ」
「いいんですか!?」琉菜はパッと顔を上げた。
「これで賄い当番もあんまり回ってこなくなるだろうしな」
「中富くん、よろしく頼むぞ」近藤が言った。
「承知」
琉菜はじっと中富を見つめた。
ありがとうございます。
それと、よろしくお願いします、お兄ちゃん。
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