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その後、全員で口裏合わせの打ち合わせをし、近藤、土方、沖田、中富は部屋を出ていった。
「ほな、琉菜ちゃんはここでゆっくりしたってや。うちは夕飯の支度せなあかんて」
鈴が立ち上がった。
「はい…すいません、役立たずで」
琉菜は小さくなって鈴を見た。身なりを整えて正式に紹介するまでは他の隊士に見つかるなと土方や中富から厳しく言いつけられたのだ。
「気にせんでええし。あとで着物の着方教えたるね。それと、明日髪結いはんが来る日やから、琉菜ちゃんも結ってもらおうな」
「はい、ありがとうございます。」
「ほな、また後でな」
鈴はにこりと微笑み、部屋を出た。琉菜は遠くなっていく鈴の足音を聞きながら、ぼんやりと鈴がいたあたりを見た。
足音が消えると、琉菜は大きく息をついた。
今までピンと張っていた何かがぷつりと切れたようだった。
琉菜は畳に置いた携帯や財布を1つ1つ鞄にしまいながら、今起きたことを反芻した。
マジで幕末ってことか…
どうすんのこれから…
賄いったって、ご飯炊くのもキャンプ式だよね?炊飯器なんかあるわけないし。
琉菜は携帯を開いた。
電波はもちろん圏外。
時計も電波で調整されているので、電波の"で"の字もないこの世界では当然止まっている。
4月7日 08:15
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