■1.箱石が楽しければ、それでいいかな

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■1.箱石が楽しければ、それでいいかな

◆箱石ひらり 「この議題、生徒総会でやってもいいと思う?」  昨年十一月に発足した、花岡北高校第七十二代生徒会メンバーの顔をぐるりと見回し、書記の林原(はやしばら)浩史(こうじ)が困ったようにコンコン、とホワイトボードをノックした。 「でも、議題に取り上げなかったら、それはそれで差別だとか言われるんじゃない?」  そう言ったのは、同じく書記の梅林(うめばやし)琴乃(ことの)だ。浩史が板書をし、琴乃が紙に記録を取る。  書記ふたりの間では、新生徒会発足後、そうした取り決めが行われたらしい。 「で、会長はどう思う?」  議長の瀬川(せがわ)大助(だいすけ)が、隣に座る箱石(はこいし)ひらりに尋ねる。  ひらりは内心、私が会長だからってなんでも聞かないでくれ、と思いながら、生徒会メンバーの顔をひとりひとり眺めて慎重に口を開いた。 「私個人としては、面白いと思う。正式に議題に上ったことはなかったけど、前からそうなったらいいなって話は私も聞いてたし、やってみる価値はあるかもしれない。でも、会長の立場から言うと、いろんなところに絡んでくるわけだから、わからない、っていうのが正直な意見かな。一度、議題に上らせてみんなの意見を聞くのもいいと思うんだけど、やっぱりまずは、先生に相談してみるしかないんじゃないかな」
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