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「じゃあ、また来週なー」
「ばいばーい」
そうして、一足先に自転車を漕ぎだして帰っていく景吾の後ろ姿を見送った。
*
しかし翌週――。
「綿貫先生が倒れられたって本当ですか!?」
「なんでですか! だって、あんなに元気だったじゃないですか!」
生徒会に、いや学校中に衝撃が走ることとなった。
朝、登校するなりその噂を耳にしたひらりと景吾は、ホームルームが終わるやいなや、それぞれの担任に血相を変えて詰め寄った。金曜日の綿貫先生は普段と別段変わりなかったのに、たった二日の間にいったいなにがあったというのだろうか。元気な姿を目にしていただけに、とても信じられることではなかった。それはほかの生徒にも波及している。
「すまない。先生たちも詳しいことはわからないんだ。でも、綿貫先生はもともと心臓に持病をお持ちで、長年、それと付き合いながら教職をされてきたんだよ。生徒のみんなには、余計な心配をかけたくないからと伏せてはきたけど、そんなに悪かったのかって先生たちもみんな驚いていてな。奥様から連絡があって、しばらく入院することになったそうだ。今は落ち着いていて、会話もできるそうだけど、五月は気温の差が激しいときもあるし、知らず知らずの間にお体に負担がかかっていたんだろうな……」
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