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■5.ほんっとお前って、そういうとこな
◆浅石佑次
綿貫先生が倒れたという一報が佑次の耳に入ってから、早くも一週間が過ぎた。
学校は平穏を取り戻しているように見えるが、この一週間、生徒会はメンバーに緊急招集をかけたり、部活前に佑次や佐々木、なずなを呼び出したりと、バタバタしている。
この三人と生徒会が連日集まっているのには、わけがある。綿貫先生が志し半ばで手放すことになってしまった例の問題について、教頭から早急な対応を迫られているからだ。
楽器のリストアップはした、生徒会でも精査した、あとはこれを綿貫先生が再度精査し、上に――目下、教頭の首を縦に振らせるために手を尽くすだけだった。それが宙に浮いた状態となって一週間が過ぎてしまったのだ。今、自分たちにできることは、なんとかして一刻も早く教頭を納得させられるだけの材料を揃えることだけだった。
『もっとちゃんと考えてよ、応援団が言いはじめたことでしょ!』
会長のひらりは、まるでなにかに取り憑かれたように《応援団は、伝統のバンカラ応援を変えてまで吹奏楽を取り入れることに本当に意味があると思っているのか。また、どのような応援のしかたをするつもりなのか》について、ブラッシュアップした意見や、どれだけ本気でやろうとしているのかを厳しく追及してくる場面が多くなった。
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