■5.ほんっとお前って、そういうとこな

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 野球部や吹奏楽部は、応援される側だったり、条件付きで話に乗った側なので、佑次に接するときほど厳しい口調になったりはしないものの、教頭からなにか言われているのだろう、やはりもう一度見直しを図ってもらわなければならないと彼女は渋面を作る。  こうなったからには生徒会も全面協力するしかないが、できることは自分たちでしてほしい。彼女はそう言って、蒼白にも見える顔で佐々木となずなに頭を下げた。  生徒総会前、全校生徒にかけ合う前から前途多難な予感しかしなかったことが、実際に形となって目の前に立ちはだかってしまった。五月ももう終わりに差しかかっているというのに、ちっとも前に進まない苛立ちが、そこここに一触即発の火種を燻ぶらせている。  ……なんでこんなことになっちまったんだろう?  佑次は楽観視していた自分の甘さに、もう何度となく打ちのめされている。  教頭は相変わらずねちっこいし、自分たちの最大の味方である綿貫先生は入院してしまった。総会の場でも意地の悪い質問をされたし、この数週間で、自分の力じゃどうにもならないこと、思いもよらない事態が次から次へと起こりすぎているような気がする。
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