■5.ほんっとお前って、そういうとこな

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 もし俺がバンカラ応援に吹奏楽を取り入れたいなんて言わなかったら、みんなの大事な部活の時間を取り上げることもなかったんだろうか。そう考えると、申し訳ないやら自分が情けないやらで、頭を掻きむしって叫び出したくなってくる。でも自分が代表なのだから、とうていそんな弱音なんて吐けず、自分の内側に溜め込んでいくしかなかった。  教頭を唸らせられない限り、予算も下りないし吹奏楽応援もできない。でもそのためにはどうしたらいいのか、佑次にはわからない。みんなの様子も日に日にピリピリしたものに変わっていき、正直、生徒会室に呼び出されるたび、糾弾されているような気分だ。  完全に手詰まりで、八方塞がりで、とてもじゃないが、こんな状態で吹奏楽応援なんてできるんだろうかと自信がなくなってきてしまう。たかだか二十人かそこらの人数でさえ、こんなにも心がバラバラなのに。同じ目標に向かっているはずなのに。  綿貫先生の思わぬ入院の影響は、こうしてみれば実に大きかった。  そんな中、またしても佑次の耳に噂が入った。 『生徒会がなにやらモメているらしい』 『生徒総会で一応は可決になったけど、この調子で本当に野球応援ができるのか』  そういった類いの噂話だ。
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