■5.ほんっとお前って、そういうとこな

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「昨日、会長とお前が盛大にやり合ったって噂だけど、マジなの? 生徒会室の外までお前らの声が聞こえてきたって話じゃん。なに、会長ってそんなにヒステリックなの?」  実際に佑次に直接、そう尋ねてくるクラスメイトも現れた。  そんなのはまったくの根も葉もない噂だったが、佑次があまりにモタモタしているため、怒られたのは嘘じゃない。その場は無難に「仲良くやってるし、そんなザコの言うことなんて放っておけ」と笑って否定したが、しかしこういう噂は一度でも立ってしまうと、ありもしない背びれ、尾ひれがついてノコノコとひとり歩きしてしまうのが関の山である。  現にあくまで平和的にモメているのは間違っていないし、学校は狭い世界だ。なにかしらみんな、刺激を求めているのだろう。あわよくば、人の不幸は蜜の味、的なものを。  なんでこういう下衆い噂ってすぐに嗅ぎつけられんだろうな……。  佑次の耳に入ったということは、すでに佐々木やなずな、会長や副会長といった生徒会メンバーの耳にも入っているはずだ。教師たちや教頭の耳に入るのも時間の問題――いや、教頭なら自分たちの耳に入る前に目ざとく嗅ぎつけているかもしれない。
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