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2 地震
翌年、佐藤は2年生に進級した。佐藤は葦河原高校サッカー部に欠かせない選手に成長していた。
6月のある日曜日。サッカー部の練習は休みだった。
「今日は森崎選手の先週の試合の録画を見よう。」
佐藤はHDDレコーダーに録画していた試合を観る。
「すごい。さすが森崎選手。2得点目か。よくあそこから決められるな。……。あっ…! な、なんだ?!」
地響きがし、大きな揺れが襲ってきた。地震だ。今までに経験したことのない大きな地震だ。
佐藤の住むマンションには耐震構造が施してある。それでも大きな揺れを感じた。
「遙見、すごい揺れだったけど、大丈夫?」
遙見の母親が声をかける。
佐藤は地上波にテレビのチャンネルを変えた。速報が流れている。
「震度5?! 震源地で震度6?! おいおい…。」
1時間ほどすると、テレビに町の様子が映し出された。全壊の建物はさほど見られないが、塀が崩れたり電柱が倒れていたりするのが目に付く。食事時ではなく、火災は特に起きていないようだ。
「母さん、避難所へ行ってみよう。町内会の人たちも来ているだろうし、そこで何か手伝えることがあったら手伝うよ。」
「そうね。軍手とヘルメットは持っていくように。」
佐藤らは避難所に指定されている葦河原中学へ向かった。
町内会の人たちも来ていた。そこで対応が話し合われ、消防車両等が通りやすくなるように道路の瓦礫を撤去しようということになった。
佐藤は汗だくになりながら瓦礫の撤去作業を手伝った。
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