おばあちゃんと向日葵畑

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とある老人ホームでは、車椅子に乗った老人が、面会に来た孫らしき女性と談笑している。 「そう言えば昔、私のためにあやちゃんが向日葵畑に連れて行ってくれたことがあったねぇ」 家先のベランダで向日葵を見た思い出が、壮大になっていることに苦笑しつつ、女性は朗らかに頷く。 「ふふっ、そうだね」 何百何千回と繰り返されて来た思い出話だが、それこそがふたりを繋ぐ絆を確かなものにしていた。 「おばあちゃんの喜ぶ顔が見たかったから、張り切ったんだよ、私」 祖母の湾曲した記憶を否定せずに傾聴するあやは、今日も嘘をつき続ける。 愛する祖母を守るための、優しい嘘を。 ーーおばあちゃんと向日葵畑ーー 【完】 .
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