丑の刻参り

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人でありながら鬼となってしまった。 昔の物語でそんな話を読んだことがあるのをぼんやりと覚えている。 有名な話だったのか、無名な話だったのか。 どんなタイトルだったのか、誰が書いたのか。 何一つとして覚えてはいない。 ただぼんやりと、白い着物を纏った女が、目を吊り上げて髪を振り乱している。 そんなシーンだけが今でも暗示のように頭から離れないのである。 物語で読んだはずなのに、それは何故だか映像として脳裏にこびりつき、 今でも時々、私を意味もなく不安にさせる。
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