19人が本棚に入れています
本棚に追加
翌日、私は暇を持てあましていた。
中学から仲が良くて同じ学校に進学した親友の由美は、最近付き合い始めた彼氏の大地とデートだ。
他に友達がいないわけではないけれど、中学校や小学校の友達はそれぞれ進学した高校の友達と遊んでいるだろうし、高校になってからの友達の家は遠い。
しょうがなく、私は家でごろごろとしていた。
なにかといえば「勉強しなさい」と煩い母はいない。
せっかくだから親がいない自由を満喫しよう。
そう意気込んでいたものの、二時間もすると非生産的な時間を過ごすのに飽きてしまった。
お昼までにはまだ一時間ぐらいあるし、そんなにお腹が空いていない。
お風呂を洗って、ゆっくり日の高い時間のお風呂を満喫するのもいい。
白い浴槽と床にペパーミント色の壁のタイル。
夜、人工光に照らされている時はそうでもないけれど、窓から入る自然な太陽の日差しに照らされると、私の家の浴槽は爽やかな森の別荘を思い起こす素敵な空間へと変わる。
どうせお風呂に入るなら、その前に外を散歩しよう。
ソファから起き上がると、つっかけに足を通して私は外へでた。
金木犀の甘い香りに誘われるように、私は家の庭にふらりと入った。
最初のコメントを投稿しよう!