悔しさと決意

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Side 朝日奈 聖也 …本当に、兄ちゃんが来てくれて助かった。 俺だけなら、今頃雪那は居ないだろう。 体が全くいうことを聞かない。 …ほんと、情な…。 この1週間、俺は兄ちゃんを観察していた。 …知れば知るほど、あの人の凄さを思い知る。 どんな生活を送っているかまでは分からないけど、常人じゃない。 姉ちゃんの見舞いに来るだけでも、兄ちゃんの立場なら並大抵のことじゃ出来ないと思う。 それを、あの人はいとも簡単に熟している。 …俺は、到底兄ちゃんに敵わない。 優しくて、強くて、眩しくて。 時には消えてしまそうな程儚く、時には肝が冷える程冷酷。 …とても魅力的な人だと思う。 だからこそ、【影】という大きな組織をまとめられるんだ。 どうやら、俺はいつの間にか兄ちゃんに憧れているらしい。 そして、会ったことはないけど、副リーダーの名取誠という人も、きっと優秀だと思う。 だって、あの人をそばで支えてるんだから。 「兄さん、大丈夫…?」 「ん?…ああ、大丈夫だよ。」 「そっか。…痛そう。」 「そうでもない。綺麗に切ってるし。」 「…守ってくれて、ありがとう。」 雪那の天使のような微笑みに、少し救われる。 …もっと、強くなりたい。 家族を守れるくらいには。 「…雪乃姉ちゃん、大丈夫そう?」 「うん。まだ、目、覚ましてなかったよ。」 「そう。…雪乃姉ちゃん、どうする?」 「私が下で一緒に寝るから大丈夫だよ。兄さんはもう寝て?」 「でも…。」 「大丈夫だから。兄さんのおかげで、私はなんともないからさ。ね?」 …俺がこの状態じゃなかったら、部屋まで運べるのに。 「……分かった。雪乃姉ちゃんのこと、頼む。」 「うん。…おやすみなさい、兄さん。」 「ん、おやすみ。」 俺とそう言葉を交わして、雪那は部屋を出て行った。 「…今日はもう寝よ。」 そう思った途端、瞼がゆっくりと落ちてくる。 明日から兄ちゃんは忙しくなる。 …だから、俺が『家族』を守るんだ。 そう心に誓って、夢の世界へ落ちた。
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