1人が本棚に入れています
本棚に追加
/24ページ
「はぁぁぁぁーーーーーーーーーーーー。」
誰も残っていない、がらんどうの教室のなかで一人、金剛 玻璃は長く、重たい溜息をついた。
今日は光幻高校の入学式。
だから、新入生は午前中で帰れるはずだったのに、学級開きの最中に月代先生と白夜が戦い出して、グダグダなまま解散になってしまった。
玻璃はそのまま校長室に連行されて、今に至るまで帰ってこない白夜を教室の中で一人、もやもやしながら待っている。
金剛 玻璃。端的に言えばとても可愛らしい少女だ。
学園内でも五本の指に余裕で入る美少女。
艶麗、優艶、妖艶というよりは可憐、優形、婉然といった方がしっくりくるだろう。
向日葵のような明るさと、溢れでる力強い生命力。
チューリップのような真っ直ぐで、純真な可愛らしさ。
コスモスのような協調性の高い、清楚さ。
それらは人を引き付けてやまない。
が。
「はぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーーーー。」
もう何度目かしれない溜息をつく彼女は。
その人の視線を引き付けてやまない可愛らしい顔に困惑と狼狽と惑いを浮かべて。若竹色のくりりと開いた目は重たく沈み。
真っ赤なリボンでおさげにまとめた、光の角度や人によっては金にも見えると言う茶の髪は心なしかしぼみ、垂れ下がっていて。
別段、玻璃にとっては学級開きがグダグダに終わったことも、白夜にずっと待たされていることも、それ程問題ではないのだ。
白夜に待っていてくれと言われたわけではない。白夜を待っているのは、玻璃が好きでやっているだけだから。
問題はそっちではない。そんなことじゃない。
まさか、まさか、まさか………!!
白夜に好きな人がいただなんて……!!!!!!!!
そして玻璃の思考は∞ループを辿る。
「はぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーー。」
最初のコメントを投稿しよう!