8.金剛 玻璃

3/14
1人が本棚に入れています
本棚に追加
/24ページ
玻璃と白夜は同じ小学校の出身である。 とはいえ、白夜が玻璃の通っていた学校に越してきたのは小学5年の時であるから特別長い付き合いとは言えないのだけれど。 白夜が転校してきた初日は酷い騒ぎだったと玻璃は思い出す。 見たこともない銀髪と紅眼。 浮世離れしたその端正な顔立ち。 誰もが彼には近寄りたくなくて、関わりたくなくて。 それなのに、誰もが彼から目を逸らせず、誰もが彼についての話をしていた。 曰く、「化け物」「親がいない、魔物の子」「気持ち悪い」 が、彼にそんな言葉の暴力は全く通じなかった。 痛くもかゆくもないのだろう。 いつもどうでもいいという冷めた瞳で皆のことを見ていて。 そんな中玻璃は、白夜が転校してきて、初めてその銀髪と紅眼を見たとき他の人のように「気味が悪い」とは感じなかった。 むしろ、ただ純粋に興味を抱いたのだ。 未知のものを解明したいという欲求。 それはだれしもが持っているものだろう。 玻璃は白夜が自分を<クラスメート>ではなく<金剛 玻璃>として認識してくれるようになった日を今でも鮮明に覚えている。
/24ページ

最初のコメントを投稿しよう!