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そろそろ散策も飽きてきたところで帰ろうと、少年達に背を向ける。
すると、手を繋いで楽しそうに歩く小さな兄妹が目に映る。
ズキリと、胸の辺りが痛み出す。
一瞬脳裏に過った光景を、違う違うと言い聞かせながら、もう一度彼らを見る。
肩まである黒髪が綺麗な妹と、
活発な印象はない、けれど穏和で優しい印象を受ける眼鏡をかけた男の子。
どこにでもいそうな、普通の子ども達。
その二人から、目が離せなくなった。
そして「あの光景」が、脳内を駆け巡る。
瞼の裏側に閉じ込めていた筈の、記憶。
全て失くしてしまったと思っていた筈のあたしの中にある、ただ一つの思い出。
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