ヒグラシ

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あれからもう、何年経っただろうか。  あの時の言葉の意味を、今のあたしは理解している。 いや、或いは理解した気になっているだけかもしれない。 だって、兄はもういない。 兄が普段何を想って過ごし、どうしてあんな行動に出たのか、何もわからない。 色々考えることは出来るが、それらは全て想像でしかない。 ただあの時、兄がいなくなって初めて、兄のことを何も知らなかったのだと気付いた。 そして、兄のことをもっと知りたかったと思ったのだ。  そういえば、兄はどんな声をしていただろう。  どれだけ考えても、やはり思い出せなかった。
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