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それでもいいんだ、君はただ僕と一緒に幸せな毎日を過ごしてくれればいい。
僕は君の笑顔を守りたい。そして共に生きていきたいんだ。
僕は知っている。君がご両親とうまくいかず勘当同然だった事も、昔の彼がものすごくひどい事を君にした事も。
君の事は、僕は何でも知っているよ。だって、いつだって僕は君を見ていたからね。
あぁ、あの夜は、しとしと雨が降っていた。
いつものように、バイトが終わった君を安全に部屋まで送ろうとしていた僕に君は気づいてしまった。
歩道橋を駆け上がり、君は僕から逃げようとした。
ただ僕は、君を守りたかっただけなのに。
そして追いかける僕を振り切ろうと、君は歩道橋の階段から転げ落ちた。
あの時の僕の気持ちを、君はわからないだろう?
僕は君を助けようと手を伸ばしたのに、君はそれを振りほどいた。
あの時、君が僕の手を離さなければ、また違った運命が始まっていたかもしれない。
歩道橋から転げ落ちた君と、無残な傘。僕はすぐに救急車を呼んだよ。
僕は君の恋人として一緒に病院へ行った。
そして、病院のベッドで目が醒めた君は何も覚えていなかった。
その時に思ったよ。これは運命なんだって。
君のバイト先には僕から連絡をして、後遺症が残るからと退職する旨を伝え彼女の携帯を真っ二つに折った。
何も覚えていない君に、僕は君の婚約者だと言った。
君は混乱していたけど、君が頼れるのは僕しかいなかった。
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