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「そう……。もう長いの?」
「もう1ヶ月になるかな」
「外に出る気持ちにはなったんだ」
「ティッシュとかトイレットペーパーを切らしてね。おかしいよなあ。どんなに悲しくても、この世の終わりだと思っても、あ、ティッシュないから買わないと、って考えるんだから。俺は自分で笑っちまったよ」
おじさんは寂しそうに笑った。
「ごはんはどうしてたの?」
「出前を取ったり、スーパーの弁当を食べていたよ」
「それで、昨日は何しに出てきたの?」
「やっぱり食い物を買おうと思ってたんだ。そしたら、あなたを見た瞬間、なんというか、……妻に似ててね。本当に、妻が帰ってきたんじゃないかって、追いかけずにはいられなくて」
おじさんは後ろ頭をかいた。
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