雷雨の前の静けさ

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午後3時前、連休前最後のホームルームが終わった。終了のチャイムが鳴った時、まだ雨は降っていなかった。この日から連休の間は部活もしばらく休みになるので、授業が終わればすぐに自由の身になれた。担任の先生も天気の事を心配して、少し早めにホームルームを終わらせてくれた。校舎を出てから、競輪選手のように全力前進自転車を漕いで、運良くくもり空の内に帰る事が出来た。 ドアを開けると、まだ私以外の誰も帰っていない我が家は、不気味なくらい薄暗く静まり返っていた。玄関から2階への階段、2階の廊下と自分の部屋まで、洞くつ探検のように通り道の電気を順番に点けていった。全ての明かりが灯ると、温かみのある光が何とも言えない安心感をくれた。 部屋に入った私は、汗びっしょりになった制服からすぐにTシャツとスパッツに着替えて、ダンスの練習をする事にした。あの、特に怒られた一日から少しは進歩したけれど、私のダンスは未だにみんなの足を引っ張っていて、あいかわらず梶本先輩の激しいダメ出しを受けていた。なので、連休明け最初の活動日までには、何とかみんなと同レベルになっていたいと思っていた。     
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