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「ふん、良かろう。斯様な事を買って出る物好きも他に居らぬだろう。だが一つだけ誓え、再び当家の門を開くその日まで、決して私の傍を離れるでないぞ!」
会場の空気が静まった。思い切り良く口に出したのが良かったのか、初めてにしては自分でもびっくりするくらい役にピッタリとハマっていたと思う。それに森田さんの演技が私とは比べ物にならないくらい上手だった。流れるようなセリフにはメリハリが効いていて、表情も堂々としていて、男役なのに違和感無く役になりきれていた。演技が終わると、観客のみんなから大きな拍手が起こり、そばで見ていた先輩達もほめてくれて、ちょっと恥ずかしかったけれど、とてもうれしかった。いつか本当の舞台でこんな風に演じられたら、どんなにカッコいいだろうか。ちょうど今までと違う事にチャレンジしてみたかったから、ワークショップが終わった後すぐに、思い切って入部届を出した。
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