雷雨の前の静けさ

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雷雨の前の静けさ

『彼女』がやってきたのは、それから数日経った連休前のある日の事だった。よりによってこんな大変な時に、どうせなら、もっと落ち着いている時に来てくれたら良かったのに。 あいにく、この日はお客様をお迎えするのにふさわしくないお天気だった。空は朝からぐずついていて、いつ雨が降ってもおかしくない感じだった。テレビの天気予報では「夕方から降水確率100%、所により雷を伴う激しい雨」と伝えていた。私は自転車通学なので、雨が降るとびしょぬれになってしまうし、雷が当たったら黒こげになって死んでしまう危険性があった。自転車用のレインコートは持ってきていたものの、出来れば家に帰るまで降らないで欲しかった。授業中も気が気でならなくて、時々教室の窓から外の天気を見守っていた。     
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