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不思議な高原で
しばらくして、ぼんやりとした感覚に包まれながら目を覚ますと、私はいつの間にか部屋の外にいた。見下ろすと草丈の長い色とりどりの植物が一面に生えていて、見上げれば沢山の雲が舞う水色の空があった。不思議な事に、どこかの高原へとワープしていた。
ここは一体どこだろう。今立っている場所を推理しようと試みるも、手がかりになりそうな建物は何も無かった。昔、家族旅行で行った高原に似ているけれど、どこか違う気がした。視界の左側には海が見え、右側には背の高い大きな木が長い枝を広げていた。明るい陽射しに心地よく吹く潮風、きれいな景色なのに、近くに人が誰もいないせいか、少しさびしげな印象を受けた。
どうしてこんな所にいるのだろう、どうやってここまで来たのだろう。なんだか落ち着かなくなって、どうにか人の気配を求めて海側の風景を確認した。遠くの海にはいくつかの島が見えたけれど、その手前には観光船か漁船の一つでも浮かんでいても良さそうなものなのに、一隻の船も行き来していなかった。
何の手がかりもつかめないまま歩いていると、だんだん空が暗くなってきて、間もなく大粒の雨も降ってきた。そして、空がチカチカ2,3回光ったかと思うと、大きな岩が転がるような音がした。
ゴロゴロゴロ……、ドドーーーーーン!
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