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元同僚の昔話2
酔っ払って何をするか分からないエマに、ルーファスは下手にエマを刺激しないように大人しく従う事にした。
エマはワインの瓶と等身大マンドラゴラを手に、陽気に鼻歌を歌いながら部屋に入るや、部屋の入り口にマンドラゴラを立てかけ、一番奥の三人掛けのソファに倒れ込む。
ラヴィーネをそっとソファに横たえたルーファスは、エマと向かい合うようソファに腰を降ろし、以前ラヴィーネが振舞ってくれたマロングラッセを棚から取り出す。
「さっきから言ってる『エレムルス』って、もしかしてラズの事か?」
ついに直接瓶に口をつけワインを飲み始めてしまったエマに、伺うようにそう問いかけると、一瞬目を丸くした後、すぐまた無邪気な笑みを浮かべマロングラッセを口に放り込んだ。
「そっか、今はもうラヴィーネだったわー。骨の檻に入ると特別な呼び名を付けられるからつい。そう、今はラヴィーネ、ラヴィーネ」
何度か確かめるようにラヴィーネの名前を反芻すると、エマは物珍しそうにソファで眠るラヴィーネの顔を覗き込む。
全く目を覚ましそうに無いラヴィーネの頬を数度つつき、三つ編みにされた髪をくるくると弄びながら、エマはふと表情を消した。
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