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不思議と良く通るその声に一瞬ルーファスは何を言われたか理解出来ずにいたが、すぐ素っ頓狂な声を上げると思いきり椅子を倒しながら立ち上がる。
ただでさえ中性的な顔立ちで小柄な体つき、性別所か年齢すら不詳のラヴィーネ。更に緩く波打つ金糸の髪は優に腰をも超す長さ。
良く考えれば男物の服を着ているのだから男なのだろうが、それはただの作業着だと言ってしまえばそれで済む程度の事。
その容姿で男と見抜くのはなかなか難しい事だが、あまり髪型に頓着していないだけらしく、よくよく見れば耳の上から生える人の頭に似つかわしくない巨大な角に、髪が束になり所々引っかかっている。
角。
ラヴィーネの頭には本来ありえない大きな角が一対、丁度耳のすぐ上辺りから緩く弧を描き後ろに伸びている。
ルーファスは店に飛び込んだ瞬間角の存在には気付いていたが、気が動転していた事もありあまりその事について深く考えていなかった。
立ち上がったまま目を丸くして動かなくなったルーファスを眺めながら、ラヴィーネは静かにルーファスが衝撃から立ち直るのをお茶を飲みながら静かに待っている。
動揺を隠せないものの、ルーファスはどうにか倒れた椅子を戻し再び座り直すと、今日ラヴィーネの店に来た目的を話しだした。
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