初めましては女装から1

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 ルーファスが目の前にあった角を一本拾い上げまじまじと眺めていると、ようやく作業が終わったのか奥の部屋からラヴィーネが顔を出す。  角を片手に煩わしそうにドレスの裾をはらいながらルーファスが戻って来ると、ラヴィーネは目隠し代わりに部屋の入り口に吊るしていた飾りのれんが見事に角に引っかかり、若干諦めた様に頬を膨らませていた。  茜色の生地に金糸で細かく刺繍を施した異国の飾りのれん。そののれんから垂れ下がる金属と硝子が糸状に連なった物が、見事にラヴィーネの白磁の角に絡まり、一見豪華な髪飾りをつけた令嬢に見える。  部屋の入り口の壁に凭れかかりながら羊皮紙に視線を落とすラヴィーネの角から飾りを取りつつ、ルーファスも羊皮紙に視線を落とす。  そこにはルーファスが語った事以外に、多種多様の薬草や薬の素材が羊皮紙いっぱいに記されていた。 「人鳥の討伐で受けた傷が原因との事らしいですが、人鳥にそんな呪いをかける能力は無いんですよね。かと言って人鳥の爪に付着していた何らかの成分が作用した――と考えても、あまりにも不可解な奇病ですし……解呪には少し時間がかかりそうですね。別料金になりますが、手っ取り早く他の誰かに呪いを移す方法もありますが?」 「他人に擦り付けるなんて、騎士の矜持までも捨てるつもりは無い」     
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