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さほど広くもない二人部屋。二つあるうち一つのベッドが一定のリズムで軋むと、それに合わせて高校の学生寮に相応しくない声が微かに鼓膜を震わせる。
「んっ……アッ、やっ……」
痩躯にワイシャツを一枚羽織っただけの小柄な少年は、自分よりずっと体格の良い上級生の上に跨って規則的に腰を振り続けている。
生まれつき色素が薄い栗色の髪は空気が含まれているかのように柔らかく、少年が腰を上下する度にその癖毛がふわりと揺れた。
彼は柿原望。小さな口から漏れ出る吐息混じりの艶っぽい声は、ややあどけなさが残る顔立ちには不釣り合いで、どういうわけか上級生にはそれが煽情的に感じるらしく、腰を掴む力が徐々に強まり、今では痛い程だ。
それでも懸命に腰を揺らすも、その勢いは回を増すごとに弱まっていった。
「ちんたら動いてんじゃねぇよ、もっと動けや」
苛立った声が望を急かす。
「ごめんなさい、も……無理です」
言われて動けるならば苦労はしない。短時間で酷使した筋肉はとうに悲鳴をあげており、体力は既に限界で息も絶え絶えという状態だ。
「はぁ? 根性ねぇなー」
忌々しく舌打ちした上級生は望を張り倒すようにベッドに叩き付け、その両脚を乱暴に押し広げた。
何を……と問う前に、皮膚の厚い手によって今にも折れそうな腰を鷲掴まれ、力任せに男のそれを捩じ込まれたほんの刹那、頭が真っ白になるほどの痛みが望を襲う。
「ぐ……ンッ」
無理矢理与えられた圧迫感に眉をひそめて僅かに呻くが、そんな事はお構い無しというふうに一気に奥まで突かれ、タレ目がちな茶色い瞳が大きく揺れて悲鳴にも似た声があがる。
しっとり汗ばむ体を執拗に弄ばれ、上気する頬に髪が張り付いた。
「ひッ、やァ……ッ!」
逃げられないようにがっちり腰を掴まれ、容赦無く突き上げられる度にむせび泣くような声をあげる。
悶えながらもせめて酸素だけでも取り入れようと、苦痛に歪められた唇で苦しげな呼吸を繰り返すが、それが上級生の加虐心を煽ってしまったのか、弱々しい呼吸ごと喰らいつくようなキスで口内を犯された。
上も下も乱暴に掻き回され、粘着質で卑猥な音と、吐息混じりの切ない声が部屋を満たす。
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