1:初めましては傘の中

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【side:ユウヤ】 ひとめぼれなんてあるんだな。 傘の中で彼女と目があった瞬間。心臓が大きく跳ねて、身体に強い電流が流れた。 雨に濡れた頬や長い髪はやけに色っぽくて。でも、大きな褐色の瞳はどこかあどけない。ぷるっとした小さな桜色の唇も。 そんな彼女を見ていたら、なんだかぐちゃぐちゃな気持ちになって。どこの誰だかも知らないのに、強烈に好きだと思った。 そこに唐突に放たれた、彼女の言葉。 「好き」 「……な、なに?」 自分の心を見透かされてしまったのかと思い、激しく動揺した。 「あの、好き、です」 目の前の彼女は、そう言ってはにかんだように笑う。その笑顔にまた心臓が跳ねて、脳がグラグラ揺れた。重症だ。 「わたし、あなたにひとめぼれしちゃったみたいです」 俺はようやく、言葉の意味を理解した。どうやら俺は、ひとめぼれした相手にひとめぼれされたらしい。
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