おまけ

4/4
94人が本棚に入れています
本棚に追加
/30ページ
【side:ユウヤ】 俺は風花にウソをついた。それは──。 昨日、職場のみんなで酒を飲んだ。実は送別会だった。誰のって、俺の。 いい加減フリーターはやめてちゃんと就職しようと、2、3ヶ月前からこっそり働き口を探して、ようやく決まった。知り合いに紹介された小さい不動産屋だ。 理由はもちろん、風花。ちゃんとした仕事をして、安定したらプロポーズでもしようか、なんて思ったからだ。 ちなみに、就職することはまだ風花に話していない。なんか照れくさくて言えていない。 まあそんなわけで、パチ屋の送別会をやってもらったら、しこたま飲まされた。うっかり泥酔した俺は、何故か風花の家に突撃。だって会いたくなったから。 「祐哉くん。昨日のこと覚えてる?」 「……いや? 全然」 ──ごめん、ほんとは覚えてる。 恥ずかしげもなく「愛してる」を連発したのだ。穴があったら入りたい。 「俺、なんか変なこと言ってた?」 「ううん、なにも」 さすが風花。知らんぷりしてくれる辺り、俺のことをよくわかっている。そういうところ、ほんと好き。 とりあえず、プロポーズする時にはシラフで「愛してる」って言う(努力はする)からさ。今日のところは、そのまま聞かなかったフリしててよ。 ~END~
/30ページ

最初のコメントを投稿しよう!