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多田さんの前年に「ミス〇大」に選ばれた人で、可愛らしい感じの多田さんとは対照的なクールビューティー。
実は彼女もお星さまではなく、サークル勧誘会で一目惚れした安藤先輩目当てに入会したのだった。
「だって私の理想ど真ん中だったんだもん。地味な装いでありながらイケメンって、かなりの希少価値よ。みんな髪型や服装で誤魔化すんだから」
彼女はそう力説していたっけ。
つまり俺達は悲しく切なき横恋慕仲間なのであった。
いや、詩織先輩の場合は早い段階で行動を起こしていれば、もしかしたら安藤先輩をゲットできていたかもしれない。何しろミス○大になったくらいの容姿だし。
本性を知る前は俺も『綺麗な人だなー。あの涼しげな目元とサラサラツヤツヤの長い黒髪はなかなかそそられるものがある』なんて思ってたし。
しかしその華やかな見た目とは裏腹に、彼女は恋愛には超奥手で、先輩を前にするとあがってしまってろくに話せず、モジモジモタモタしている間に多田さんに「横からかっさらわれて」しまったのだとか。
実は今日ここに馳せ参じた真の目的は、同じく招待を受けているであろう詩織先輩の様子を探る為だった。すぐに諦めがついた俺とは違い、いつまで経っても安藤先輩に未練たらたらでグチグチブツブツ言っていた彼女の事がとても気がかりだったから。
などと考えながら視線を巡らせていると、安藤先輩達よりも先に、ホールの右手奥にある、屋外に通じるガラスの扉の前にいる彼女を発見した。俺は足早にそこまで移動し、扉の取っ手に手をかけていた彼女に背後から挨拶する。
「お久しぶりです。詩織先輩」
彼女も卒業後サークルに顔を出す事はなかったので、実に約2年ぶりの再会だった。
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