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きっとこれは、神様からの警告だ。
咄嗟に身を隠した喫茶店の看板裏で、私――黛りいさは後悔の念に苛まれていた。
どうしてこんな所まで、追いかけて来てしまったのだろう。
どうして先輩に、告白をしようなんて思ってしまったのだろう。
私には、何一つ先輩に見合うモノなんてないのに。
(ホント、馬鹿だよ。私)
顔だけをそろりと出して、もう一度確認する。
数メートル先を歩く、すらっとした高身長の男子生徒。
柔らかな髪色に、よく知る優し気な目元。
間違いない。やっぱり、織部先輩だ。
楽し気な笑みを携えながら、見たことのない制服の女生徒と肩を並べている。
(……彼女、なのかな)
スカートから伸びる白い脚はすらっとしていて、腰もきゅっと締まっている。
顔なんて掌に収まるんじゃないかってくらい小さいし、先輩を見上げる瞳はお人形さんみたいにまん丸。
唇だって、ほんのり色づいていて愛らしい。おまけにプルプルだ。
歩く度にふわりと揺れる、艶やかなハニーブラウンの髪。
(……美少女)
野暮ったい黒髪に、ありのままの平々凡々な顔面と体系を合わせた私とは、正反対もいいところ。
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