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「……っ、よろしくお願いします!」
勢いよく頭を下げると、嘉瀬くんは数秒してからブハッと噴き出した。
「うん。よろしく、先輩。因みに俺はスパルタだから、覚悟しといてね」
怖い事を言うくせに、クツクツと笑う彼はなんだか楽しそう。
それから私たちは、連絡先を交換した。
「これでよし、と。後でコスメいくつか連絡するから、次会う時までに買っておいて。大丈夫、ちゃんと先輩でも買いやすいプチプラのにするから」
……なんだか怒涛の展開過ぎて、いまいち脳が追い付かない。
けれども、嘉瀬くんがコスメなんてチンプンカンプンな私に配慮してくれているのはわかる。
だから私は感謝と決意を込めて、大きく頷いた。
メッセージが届いたのは、お風呂上りだった。
明日ドラッグストアに行ってこよう。髪を拭きながら、私はふと気づく。
(……どうして私が"先輩"だって知ってたんだろ)
彼とは初対面の筈だけど。
「……どっかですれ違ってのかな」
そう結論付けて、私は彼に指定されたコスメを検索した。
私がこの答えを知るのは、ずっと後になる。
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