嘘だらけの金曜日が。

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うーん…… 僕は、ふた回り上の彼の背中をさすりながら考えた。 考えるに……これは、人違いだ。 僕だけ異世界に行ってしまったとか、そんな非現実的で、ファンタジックなことはないだろう。 彼は、非常に酔っ払っている。このことから、体内のアルコール濃度は相当高いことになっているだろう。アルコールは、人を識別する能力をぐんと下げる。 よって、僕を同僚の山田太郎さんと間違えたんだろう……50代に間違えられるのはかなりショックなんだが…… 背丈とか、雰囲気とか似てたのかな……? それに、山田なんて多いからなぁ。 名字ランキングでもかなり上位に入っている自信がある。名字だけ聞いて迂闊(うかつ)に返事をした自分がバカだったな…… ともかく、様々な偶然が重なって、いまに至るのだろう。僕は、相変わらず突っ伏している彼を見つめた。
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