嘘

　暗闇に呼び出し、俺は【スミレ】の頭に金属バットを思いっきり振り下ろした。

　何度も何度も無我夢中で殴っているうちに、【スミレ】の顔は、原型をとどめていなかった。

　【スミレ】はピクリとも動かなくなり、俺は彼女を車に乗せて近くの山まで埋めに行った。

　だから、ここに【スミレ】がいるはずがないのだ。

「ねえ、大丈夫？」

　俺の顔を見て、【彼女】は心配そうに聞いてくる。

　今まで思い出しもしなかった人を頭から振り払い、

「大丈夫だよ、――」

　俺は、【彼女】の名前を呼んだ。