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「本来貴族子息の婚約は各家の判断に任されます。しかし、サイファがシャーリー嬢と結婚してしまうと、彼は貴族に戻ってしまうわ。そうすると罰とならないので、今回は容認出来ません」
男爵令嬢に血道をあげたサイファに、優秀なシャーリー嬢が拘る理由を知りたいわね。彼女は婚約破棄を望んでいたはず。
「シャーリー嬢は、何故サイファに拘るのですか?」
「王妃様。この本が理由でございます」
シャーリー嬢が手渡してきた、黒い表紙の本をパラパラと捲る。
これは……腰を入れて読みたいわね。
「シャーリー嬢、これはよく読んで判断したいわ。お借りするわね」
「王妃様、その本は献上いたします。また、他にも参考資料がございますので、後程お持ち致します」
このような本が市井に出回っていたなんて、情報収集が甘かったようですね。今後は積極的に情報収集を行わなければなりません。
「では、側近候補の婚約者に対する対応は後日とします。陛下、宜しいでしょうか?」
「それは構わぬが、その本はどのような内容なのだ?」
陛下の問いに、顔を赤らめた子女が居ますね。彼女らはこの本の内容を知っているのでしょう。詳しい話を聞かねばなりませんね。
「陛下、先にユーリ・マゼラン嬢と獣人に関して話し合う必要があります」
「そうであったな。ユーリ嬢が獣人を助けていた件だが……」
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