未来の為に

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誰も発言しませんね。かなりデリケートな問題なので、仕方ないと言えばそれまでですが。 「私の考えを言いましょう。ユーリ嬢とケントとの婚約は当然解消します。そしてユーリ嬢にはパナマ王国への対策をしてもらうと同時に、内政の手助けをしてもらいます」 「王妃様、それではユーリ嬢に対してはお咎め無しということではありませんか!国を騙したに近い行為をした以上、罰を与えぬというのは承服出来ませぬ!」 伯爵家の当主が間髪入れずに異議を唱えました。気持ちは分からなくもないけれど、少々浅はかですね。 「ならば、どんな処罰が相応しいと言うのですか?」 「王位継承権の剥奪と、王族としての身分剥奪が相応かと」 「王族の身分がなくとも、辺境伯令嬢の身分が残りますな。妥当ではありませんか?」 伯爵の答えに、武官の一人が相槌を打ちました。それに対して文官は苦い顔をしています。 「考え無しの武官らしいな。もう少し頭を働かせたらどうなのだ?」 「それは無理と言うものではありませんか?戦うことしか能の無い武官に、頭を使えと言う方が酷と言うもの」 あからさまにバカにされた武官は、今にも文官に掴みかかりそうな勢い。言い過ぎの感はあるにしても、文官の言い分が正しいわね。     
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