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神の愛(モフモフ)をあなたに
ここは王城に作られた離宮の一室。揺り椅子に座った老婆が昼の日溜まりでうたた寝をしていた。
「おおばぁば、あそびにきたよ」
頼りない足取りで走る幼児。後ろにはメイド服を着た狼獣人が転びそうな幼児にハラハラしていた。
「おおばぁば、おねむ?あそんでくれないの?」
揺り椅子の脇までたどり着いた幼児だったが、反応しない老婆に萎れていた。ピンと立っていた狐耳が、心もち元気を失っている。
その時、シワだらけの腕が動きゆっくりとした手つきで幼児の耳を優しく撫でた。
「ヒエイ、走ってはダメだと言っただろう。ルティー、いつも大変だな」
「王太子殿下、それが勤めで御座いますので」
ルティーと呼ばれた狐狼獣人は、仕える主に膝をついた。
「ルティーの働きには頭が下がる思いだ。昔は獣人を虐待していたというが、愚かすぎて笑えもせんな」
「そこまで仰って頂けて、光栄に存じます。それも大母様の功績に御座います」
そう返された青年は、誉めた家臣に先祖を讃えられ苦笑いした。
「それも、そなたの祖母のミリー殿が支えての事であろう。祖母のモフモフ好きは有名な話だからな。それは今も変わらぬようだ」
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