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老衰により、殆んど意識がない筈のユーリは曾孫のケモミミを撫でる事を止めない。
「お婆様が、ユーリ様のモフモフ好きは死んでも変わらないと言われていましたが、本当なのですね」
苦笑いするしかない主従。だが、ほのぼのとした空気は幼児の一言により打ち砕かれる。
「おおばぁば、おねむなの?ねえ、おねむなの?」
曾孫の頭から落ちた手は動く事はなく、閉じられた瞳は二度と開く事はなかった。
その日、国中の鐘が打ち鳴らされ国に隆盛をもたらした女傑の逝去が知れ渡った。
人々は嘆き哀しみ、天へと旅だったユーリの魂が安らかである事を願った。
『ケモミミをモフりながら逝かれるとは、ユーリ様らしい最後でしたね』
悲しみにくれ、花を棺に捧げる人の列を見下ろしながら私は迎えに来た懐かしい耳をモフる。
『宣言通り、死んでもお変わりになりませんでしたね。さあ、ユーリ様、創造神様がお待ちですよ?』
『死んでからもこき使うとか、創造神様も結構鬼畜よね』
葬式を見届けた私は、ミリーに引かれ天上へと昇っていく。
『死んでからもモフるユーリ様も同類なのでは?』
そう言われると、反論出来ないわね。でも、だからといってモフモフは止められません。
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