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友達を殺した。
殺される。
異常だ。
殺人犯。
死にたくない。
殺される。
なんで俺がこんな目に。
殺される。
早く逃げなくちゃ。
死にたくない。
ここから。
死にたくない。
でも…怖い
いやだ。
死にたくない。
殺される。殺される、殺される!
紘の警戒した態度に、少女は心を痛め、悲しそうに笑む。
「大丈夫、わたしだよ。ここは安全だから」
耳を疑う言葉。
安全、だって…?
こんなわけのわからないところが?
人殺しと同じ部屋にいるのに?
何が安全なんだよ…。
イカレてる。
少女に対する恐怖を通り越し、今では感情が憤怒で支配されていく。
腹の底から沸き上がる黒い感情。
紘は唇を噛み締めた。
「…ふざけんなよ…!なんなんだよ、お前。ストーカー女で、人殺しで、今度は監禁か!?……なんなんだよ……なんで……何がしたいんだよ…。なんであいつら…っ!」
次第に声が震え、目に涙が浮かぶ。
良太と健介は死んだ。この女に殺された。
自分が見ている、目の前で。
何も出来なかった。
友人が襲われていく中、ただ恐怖に怯え指をくわえて見ていただけだ。
何も、出来なかった。
無力で情けない自分。
腹立たしさと恐怖と憤りと後悔。
様々な感情が交差し、廻る。
少女はコツ、コツ、と靴音を響かせベッドに歩み寄ると、突然紘に抱き付いた。
包み込む様に、ふわりと。
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