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何も語らない紘に焦燥感を煽られ、太一は半泣き状態に陥り紘の肩に掴みかかった。
「どうするんだよ!?あいつ死んだら!おれたちのせいだって、おれたちが山に置き去りにしたからだって!やばいよ…今までのこと全部バレるし、せめられるし怒られるし…どーすればいいの!?」
太一の錯乱につられ、有紗も目に涙を浮かべる。
クラス中がざわめき、口々に非難の声が飛び始めた。
「どうするの…?」
「ねぇ、やばくない?」
「だからやめとけばよかったのに」
「私は最初っから反対してたよ」
「わたしも」
「おれも」
「誰だよ、こんなこと言い出したの」
「有村くんでしょ?」
「全部紘が悪いんじゃん」
「そうだよ。紘がいじめなんかやろうって言い出さなければこんなことにはならなかった」
「度がすぎてるよね」
「いくらなんでもやりすぎ」
「このまま神谷が死んだら全部紘くんのせいだよね?」
「わたしたちは悪くないよ」
「悪いのは有村だ」
「全部、紘のせいだ」
不安、非難、責任転嫁。
全部、俺のせい。
紘はぎりっと奥歯を噛み締める。
怒りが、腹の底から沸々と沸き上がっていく。
「ひろ───」
「ふざけんなあっ!!」
気を遣い声を掛けた有紗を遮り、紘は勢い良く立ち上がると同時に怒りの籠もった声で叫ぶ。
一瞬にして、教室はしぃんと静まり返る。
紘は非難者たちを背にしたまま、続けた。
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