0人が本棚に入れています
本棚に追加
「俺が悪い?俺のせいだぁ?ふざけんなよお前ら!みんな楽しんでやってたろ!昨日のことだって、みんな賛成して考えたことだ!俺だけを悪者扱いするな!お前らみんなきょーはんなんだぞ!ふざけんな……ふざけんなっ!!」
紘は興奮の余り息を切らした。
これだけ吐き出してもまだ足りない。
まだまだ、怒りは収まらない。
ふざけるな。ふざけるなよ。
俺だけが悪いんじゃない。みんな悪いんだ。
俺のせいじゃない。ちがう。俺は悪くない。
悪いのは神谷だ。
神谷が悪いんだ。そうだよ。アイツのせいだ。
アイツが殺人犯なんかに襲われたりするから、だから俺がこんな目に…。
くそ。くそっくそ!
とその時。
教室のドアが開き、担任が入ってきた。
酷く慌てた様子で、涙ぐんでいる。
担任は教卓の前に立ち、生徒たちに席に着くよう促す。
全員が席につき、再び場が静寂に包まれた頃、担任は感極まり涙を零しながら重大な事実を告げた。
「………っ……、…神谷……さんが……、神谷、純子さんが…っ……たった今、亡くなりました……!」
--------
「思い出したみたいだね」
少女の抑揚のない甘ったるい声に、紘は一気に現実に引き戻された。
少女はにこり、と笑いかける。
紘は震える声で問う。
「……だ、誰だよ………お前……?あの時の、クラスメート…?まさか、まだ俺のせいだって復讐に…!?」
少女は一瞬間を空けふぅ、と息を吐くとす、と立ち上がった。
靴音を響かせ、紘に歩み寄る。
「やっぱりわかんないか。わたしだよ、あなたのことが大好きな。覚えてるんでしょ?わたしがラブレター渡したこと」
少女は頬を赤らめ、腕を後ろに組み若干上目遣いで問い掛けた。
その瞬間、紘の脳内に全く予想もしなかった…いや、出来なかった人物像が浮かび上がる。
そんな筈はない。ありえない。
頭では必死に否定していても、口が勝手に少女の名を呼んでいた。
「……み……た、に……?」
少女の顔が煌々と輝き出す。
最初のコメントを投稿しよう!