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少し脱線したが物語を再び舞台を
【焼肉屋TOGASHI】に戻す。
セイジ『んで?…頼みてなに?パイセ〜ン』
タニ
『おっとその前に約束の
質問をさせて貰うぜ嘘や適当な答えはなしな』
そう言いながら着ている
背広の内ポケットから
ボイスレコーダー取り出し卓上に置く。
やっぱ聞き込みには
コレはマストアイテムよ!
セイジはそれを見て怯む。
その様子を見て間髪入れずに
追い打ちをかけるように脅し釘を差す。
タニ
『もちろんこの店に来た時から
録音してたから書き込みを認めたオマエの発言も、しっかりココに残ってるからな』
その言葉を聞き眉を顰めている。
セイジ
『チッ!めんどくせ〜大体さっきから
書き込みの事で強請って来てるけど
肝心の告発する崎山さんに会えるのかよ!?』
そのセイジの勘繰りに不適な笑みで返す。
タニ
『崎山さんにも顔が効くお客さんに
最近とても良くして貰ってるから頼めば
席を設けて貰う事なんて容易いんだわさ』
無論これはブラフである。
実際には崎山と話せる機会など
オレっち程度の立場の人間では
雲の上の存在過ぎて到底無理であり得ない。
だがこれが効果覿面。
セイジはその言葉を鵜呑みにして
先程迄の威勢が嘘の様に
バツが悪そうにして黙りこくる。
よし!さーてそれじゃあ〜!!
いっぱい喋ってもらい
協力してもらいましょうかね〜!
セ・イ・ジく〜ん♪ ぐへへ。
こうしておれっちの質問は開始された。
・殿山に代わる店長候補
・寧々と親しかったキャストの心辺り
・臣道の直近の休みのシフト
・店内の間取りの確認
この4点について聞き出した。
先ず店長候補については
馬渡 礼司 (まわたり れいじ)
という名が挙がったが
これは想定内の返答だった。
だが収穫もあった。
どうやらレイジはこの馬渡には
あまり良い印象を抱いて無い事にあった。
レイジ
『もしかして馬渡のヤロー
パイセンに強力すれば失脚させれる!?』
タニ『まあ…そうかもな』
正直この一件に馬渡が絡んでるかは
まだなんの確証も無かった。
しかし、セイジの反応を観て
咄嗟の起点を利かしてそう答えた。
それを聞くと先程とは打って変わり
身を乗り出し協力的な姿勢に変わった事だ。
人物像をレイジがペラペラと喋り出すが
殆どは愚痴に近い物だった。
なんでも態度がデカくて気に食わないらしい
どの口がそんな事を言うのだろう…。
しかし、殿山と馬渡の関係は決して
友好的では無く確執に近いものがある事と
何人かの子分を引き連れ
派閥を広げ店で幅を利かせ
実質殿山よりも勢力図的に強いという事だ。
・・全く。想像通りの人物像だ。
次に寧々と親しかったキャストについてだが
流石に店専属の客引きでは無いので
源氏名のみの把握で寧々という女性の事に
ついて面識した覚えも何も知らないみたいだ。
コレも想定内で寧々というキャストは
店の古株ではあるみたいだが
ヘルプの女王と揶揄されるだけあって
目立つ派手なタイプでは無いと思ったからだ。
それに寧々に関しては詳しそうな
人物が思い当たる。
それはこの書き込みの主である。
>>787
その推して寧々でしょ
坊主頭君と同じ日から来てない
あの子坊主頭君の事好きだったから
駆け落ちだと思うよ^^
この書き込みは十中八九キャストであり
恐らく寧々に敵対心は無く
結構親しかったと思われる。
ただこの業界での日は浅く
少し天然でおっとりとした性格だと思われる。
何故ならこの業界に於いてタブーであり
店の汚点である風紀をチラつかせる様な
発言はこんなに堂々と
不特定多数の人間が観る掲示板でしかも
指名客に対してボーイは絶対にしない。
これは少し業界に携わっていれば
嬢でも余程寧々に対して怨みがあり
知能犯で無ければこんな発言はしないだろう。
では何故この書き込みの主と寧々が
敵対心は無く友好関係にあると思ったかって?
それはだな。もし、本当に駆け落ちだとしても
寧々が京介に恋心を抱いてた事は
親しくなければ絶対に喋らないだろうし
京介との関連性を指摘してるのは
確かな確信があっての発言であろう。
それに文面から
どことなく2人が結ばれて嬉しそうにもみえるし悪意や知性は感じられない。
以上のプロファイリング
で浮かび上がった人物像が
新人 天然(バカ?)
親しみ易く後輩として可愛いがられる
愛嬌のある女性といったところか…。
しかしながらこれはあくまでも
オレっちの推測であり勘に過ぎない。
やはり実際に店に客として出向いて
この人物を特定するしかなさそうだ。
そこでの臣道の休みの日と
店の間取りを聞く事が大事だった。
臣道が居ると話がややこしくなりそうだ
セイジから聞き出した休みは
オレっちの出勤日と被ってるが
心苦しがモトさんに頭を下げて
シフト調整してもらい誰かと入れ替えで
休みを貰うしかあるまい。
間取りについては
最近視察として店で呑んでる
崎山との接触を
極力避けたかったからである。
変に勘ぐられたくないのもそうだが
京介の居所を突き止める為の行為なので
協力関係ではあるし負目は無い。
しかし奴と顔合わせあの目で
睨まれたら生きた心地がしない
総帥である崎山ともなると恐らく
V IPルームに居るに
違いないそう思ったからである。
間取り的にV IPルームに居る限り
トイレ以外では鉢合わせる可能性は極めて
低いと思われた。
全て尋ね終えた上で
セイジに店内に潜り込む
日時や手筈を
話し合い協力させる交渉をし約束させた。
その際一つだけ厄介な人物がいる。
片桐 羅一(かたぎり らいち)
通称 マムシ 四羽鴉の1人である
そのねちこい喋り方と
ターゲットの通行人は噛み付いたら離さず
数十メートルに渡り追いかけ無視されても
耳元で囁き続ける客引きスタイルである。
普通なら通報案件だし
殴られてもおかしくない行為だ。
側から観てると
交渉など成立しそうにないのだが
不思議と最初は不機嫌そうにして
無下な態度の通行人も足を止め立ち止まり
高確率で交渉を成立させる。
蛇ぽい人相やヒョロとした体型も相まり
まさに噛まれたら最後
毒を持ったマムシである。
セイジはそんなマムシが取り仕切る
縄張りにて客引きをしている。
奴の事だオレっちの存在に気づけば
何かとねちこく勘繰りを入れて
話しかけて来るだろう。
それだけは避けたかったので
セイジには片桐が客と交渉を成立し
店に案内してる隙を見計らい携帯に
コールを鳴らせる手筈を踏んだ。
よし!あとは本丸に攻め込むのみ!
オレっちは意を決してプランを固めた。
セイジとの約束通りに
焼肉屋の料金を支払い店を後にした。
セイジ『パイセンごちでーす♪』
そう言い残して
そそくさ逃げる様に足速に帰っていった。
支払い料金は凡そ25000¥
くそ・・オレっちはドリンクしか頼まず
殆ど肉に手を付けてないのに・・。
奴が痩せの大食いの事を忘れていた。
スナックまどかの料金
セイジへの報酬3万円
焼肉屋の奢り代2万5千円
この時点で相当な出費を費やしていた。
まぁ良い今回の案件は特別だ。
そう思いながら
オレっちは寮に帰宅する事にした。
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