商人タニの流儀

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ラン 『あっ!ごめんごめん。お酒今作るね 見た目からして呑めるしょ!』 そう言いながらほぼロックに近い 焼酎がオレっちの手元に置かれた。 別にお酒が弱い方では無いが 最低限希望を聞けや!(笑) 運ばれてきたランが頼んだカクテルで 乾杯のグラスを合わす。 当然乾杯マナーとして キャストがグラスを下げ合わすものだが ランに至ってはお構い無しに同じ高さで グラスを合わせてきた。 ・・全くここの教育はどうなってんだ。 酒は濃いし・・。 タニ 『ランちゃんもしかして? こういう仕事して日が浅い?』 ラン『えーなに説教?』 少し不機嫌そうにしている。 タニ 『いやいや単純に今までこの店に通って 観てない顔だなーと思って』 ラン『ふーん。今日ウチ体入なんだよねー』 馬渕(まぶち)テメーこのやろー!! 体験入店の女の子付けるなんて オレっちも舐められたもんよのー!! まぁ。落ち着けオレっち。 こちらが新人希望した訳だし 不慣れな体験入店のキャストを 安全な同業者に付ける事はよくある事だ。 しかしながらこの女が 今回の目的である あのレスの主の線はこれで完全に消えた。 新人にしては妙に 場慣れしてて肝は据わってる。 しかしながらグラスもテーブルに さっきから小指も添えず毎度コツコツ 音立てて置くし全くやる気が感じられん。 ははーん。なるほど。 どうせその日暮らしの金目当ての ※体入荒らして所だろ…。 最初からお目当ての女に出会えるとは 思わなかったけどなかなかしんどいな…。 そう肩を落とし溜息を付いたその時であった! 突然店内の照明が消え暗闇になる! 照明が当てられたミラーボールが回り始める そして大音量で派手なBGMが流れだした。 ラン 『おじさーんきょーう 口にヘルペスできてるからーキスはなしねー』 そうBGMにかき消され無い様に 少しがなり口調で言いながらランが 俺っちに股を広げて跨って来た。 あーそうだすっかり忘れてただわさ。 ここ…おっパブだという事を。 所謂ショータイムてやつだ。 ランがドレスを腰まで脱ぎ 小振りだが綺麗な胸が顔の目の前に来る。 ラン『どーしたの触んないのー!?』 ぐぬぬ。目的の為とはいえ ここで楽しんでる場合かとは思うが こちとら金も払ってるお客様じゃーい! オレっちのフィンガーテクと 舌技でこのランという女を ひいこら言わしたるわーい!!! 谷屋はランの左乳房にしゃぶりつき 両胸を揉みしだく。 するとランが少し不敵な笑みで 耳元に口を寄せて囁いてきた。 ラン『…おじさんセックス下手でしょ(笑)』 ハートが音を立てて崩れ落ちる 音が聞こえたが それとは対照的に不覚にも オレっちの股間は膨れ上がっていた。 タニ『ばっ!バカ言え!手加減しただけで 本気出したらこんなもんじゃないだわさ!』 五分位すると元の照明と音楽に切り替わり ランはドレスを胸まで上げ膝から降りて 隣にドカッと寄りかかる。 そして腹を抱えて笑っている。 ぐぬぬこの女! そう何を隠そう谷屋は素人童貞であった。 馬渕『お客様。失礼しまーす ランさんそろそろお時間でーす!』 馬渕はそう声を掛けて足速に立ち去る。 するとランは真顔に戻り。 淡白な口調で谷屋にこう告げる。 ラン 『ごめん。今日はもうある程度稼げたし。 帰りたいから。場内(指名)とか無しね。』 だ、だれが。場内なんてするかー!! という心の声を抑えて引き攣った笑顔で返す。 タニ 『それは。残念だな〜また今度会ったら 指名するからよろしくね!』 ラン『・・あい。ごちそうさまでしたー!』 そう気怠そうに形式上の グラス合わす動作をして立ち上がり オレっちの元から去っていった。 ふー次は頼みますよー!まぶっちゃんよー! そう神頼みしながら次のキャストを待つ。 しかしながらあのランていう女 雑過ぎる※オラ営もいいところだったな…。 そんな事を思いながらも 頭にランの先程見た 美乳が思い浮かんでしまい 首を必死に横に振りながら映像を かき消そうとする谷屋であった。 ※体入荒らし 面接後お試しで店で働き在籍するか決める。 体験入店の略称が体入(たいにゅう) 基本的に給料が日払いの為同じ街で 2人組等で在籍する意思が無いにも関わらず 日当目当てで同じ街や違う街の キャバクラ店やセクキャバ店を転々とする 存在を体入荒らしという。 体入荒らしとしてマークされると 情報が出回り店によっては面接時に 門前払いする対策をとる場合もある。 ※オラ営 主導権を客では無くキャストが握り 従わせてコントロールする接客技術。 当然通用する客を見極める力と 怒らせない技量が問われる。 オラオラ営業の略称である。 主にホスト業界で使われる事が 多い用語だが キャバ嬢でも稀にこのタイプは存在する。
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