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おいおい。ちょと待て。
このタイミングでショータイムかぁー。
しかしながらこの情報はデカい。
恐らくそのコノハという嬢が
あのレス主に違いない!
今回の事件の真相への糸口と
重要な手掛かりを掴む事への
大きな一歩で飛躍的前進と言えるだろう。
あとそのコノハという嬢と
どうやって接触を図るかだわさ…。
膝に跨りドレスを
腰まで脱いでるミドリの軽い体重が乗る。
上の空で考え込んで居たタニの視界に
小振りでまるで幼女の様な
ミドリのおっぱいが飛び込んでくる。
うっ。。流石になんか
イケナイ犯罪を犯す気分になるし
オレっちにそんな趣味は無いだわさ…。
一瞬躊躇する谷屋だったが
ここで触らなきゃ逆に失礼にあたるし
男がすたると気持ちを奮い立たせる。
どうせこのBGMのボリュームの中
ろくに会話も成立しないし
なによりもさっきランに受けさせられた
不名誉なレッテルを貼られた
仕打ちへのリベンジだわさ!!
唸れオレっちのゴールドフィンガー!!
ひーこら言わせたるわー!!
・・・が。そんな谷屋の意気込みとは
裏腹にミドリの表情は鉄仮面の如く
ピクリとも動かず。
時折申し訳程度に
餌を突く小鳥の様に
可愛らしいフレンチキスをして来て
柔らかい唇の感触を感じるだけであった。
ランの時とは打って変わって
オレっちの股間も沈黙している…。
この今日という日の数十分の間に
男としてのあらとあらゆるプライドや
尊厳が失われた気がするだわさ…。
今度はハートが粉々に弾け散る
音が聞こえた気がするだわさ…。
谷屋はショータイムが終わると
肩を落とし項垂れる。
はっ!いけない!
そんな事よりコノハだ!!
もう直ぐ延長交渉をしに
ボーイが訪れるに
違いない早く突き止めなくては。
時間が無い!そう我に返り
ミドリに再び質問を投げかける。
タニ
『ミドリちゃんそのコノハちゃんて
子は今日出勤してる!?』
ミドリは不思議そうな表情を浮かべ
無言で頷き口を開く。
ミドリ
『斜め向かいの席の黄色いドレス着た
カワイイ子がコノハちゃん…だけど』
その視線の先に目をやると
おっとりした雰囲気の明るく
愛嬌のありそうなタヌキ顔の女性が居た。
やった!居た!!
遂にレス主と思わしき人物の名前と
顔を断定し突き止めただわさ!
そんな心の中で興奮と喜びを爆発させた
谷屋とは対象的にミドリは俯き浮かない
表情を浮かべこう述べる…。
ミドリ
『…ご、ごめんなさい。今日は
本当に退屈な思いさせちゃって…。』
タニ『いやいや急にどうしたんだい!?』
ミドリ
『やっぱ私この仕事向いてないですよね。』
オレっちは
思わず咄嗟に言葉に詰まる。
ミドリ
『相談した時に先輩と約束したんですよね
諦めて辞めるのは簡単だけど
本指名のお客さん3人呼ぶ事を目標にして
達成した時に、また考えて決めれば良いから
それまで私もコノハも精一杯支えて応援するから一緒に3人で頑張ろうよ!て。』
タニ
『本当に寧々ちゃん良い先輩だったんだね』
ミドリ
『…はい。けど、才能無いし
私。今迄1人も本指名のお客さん呼べないし
先輩との約束果たせなかったけど
今日でこの店辞めようと決めました。
最後にタニさんみたいな良い
お客さんと出逢えて良かったです…。』
それを聞き気付けばオレっちは
条件反射なのか
感情的になり語り出していた。
タニ
『ミドリちゃん!今辞めたらもったいないよ!
寧々ちゃんはもう戻って来ないかもだけど
コノハちゃんがまだ居るじゃんか。
3人の間での約束でしょ?
それにミドリちゃんならきっと大丈夫!
今日楽しませて貰ったオレっちが保障する!』
と、はぁ!?急にどうした!?
欲しい情報は手に入れて
この子はもう用済みの筈だろ?
普段のオレっちなら絶対あり得ない
酒飲み過ぎたか? 同情か?
そんな事を自問自答してたら
出会ってから始めてオレっちの顔を
正面から視線を交わして来た。
彼女のその真っ直ぐで透明感のある瞳に
一瞬オレっちは吸い込まれそうになる。
するとミドリが
急に勢いよく席から立ち上がる。
ミドリ
『ありがとうございます!!
お世辞でも嬉しいです!!
私もう少しだけ頑張ってみます!!』
今までと同一人物から発せられてる
声量とは思えない大ボリュームで
ハキハキとした口調で
頭を軽く下げながらそう礼を述べられた。
するとその突然の決意表明に
店内は一緒静まり返り
周りの席の嬢と客からミドリに
視線が集中してクスクス笑い声と
隣の卓から揶揄い半分の野次が飛ぶ。
「よ!ねーちゃんいいぞー!
今度おじさん指名しよ〜かなー!」
「ちょwやめなさいよw
まーくんには私が居るでしょ♡」
ミドリは瞬く間に顔を真っ赤にして
両手で顔を覆いそのまま膝から
崩れ落ちるように席に腰を落とす。
タニ『あはは。いーね!その意気だわさ!』
ミドリ『はい!ん?だわさ?』
タニ『あっ、、いっけね!控えてたのに
癖でてしまっただわさ。やっぱ変かな?』
すると2人は一拍置き腹を抱えて大爆笑する。
ふん。なんだ。
ちゃんと笑えるし可愛いじゃん。
ふ…きっとプライベートで遊びに来てたら
この子を場内延長してたかもな。
そんなやり取りをしてると
延長交渉にボーイがやって来て
ミドリとは今回はそれでお別れになった。
その去り際のミドリの姿に吹っ切れたのか
出会った頃より何処と無く
やる気と自信が溢れてるように見えた。
なんの確証も無いが
彼女はもっと上手くやれそうな気がする。
ー・・頑張れよ。 ー
オレっちは勿論言うまでもないが延長した。
いよいよ今回の本題の目的を果たす為である。
しかしどうしたものか…。
馬渕に直接コノハ場内指名を告げるのが
スマートな方法だがなるべくそれは避けたい。
しかしこのまま運任せで待ってても
もしもオレっちの
とある推測が正しければ
馬渕は絶対にコノハを宛てがう事を避け
このままでは今夜中にコノハと対面出来る
可能性が極めて低くいと懸念される。
とりあえず。
オレっちは頭を整理して作戦を練る為に
黒服に伝え次の女の子が隣に着く前に
トイレに向かった。
そこで接触を是が非でも避けたかった
人物と木偶合わせてしまう。
そう。崎山塁である。
が、しかし、そこで突破口が生まる事になる。
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