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人々からの信仰が厚かった時代は過ぎ去ったのだろう。家元が倒れる前から、神社を訪れる人は数える程度だった。それほど求められてもいないのに、急がなければならない理由がイマイチわからない。跡を継げとしつこく急かしてくるのは、運営を任されている親戚陣だが、彼らには神社の現状が見えていないのではないだろうか、と疑う程だ。
「わざわざ町を出ていった私を呼び出す程とはとても思えないよね。……おじさんたちは何を考えてるんだか」
私は小学生までこの町で過ごした後、母の住む東京で四年間過ごしていた。予定ではそのまま向こうで高校生活を送るはずだったが、高校二年への進級を控えた冬、祖母が倒れたという情報が入った。――脳梗塞だった。
幸い発見が早かったこともあり命に別状はなかったものの、リハビリ生活に明け暮れる祖母にはとても神子のお務めがこなせるはずもなく。代わりに務めを果たせる者を――と、直系の血族である私が呼び戻されることになったのだ。
戻った私を待っていたのは、祖母の側仕えをしていた遥による修行生活。宮司の父は、宮司の仕事を親戚に任せ、祖母の面倒を見るために、祖母の入院している病院の近くに一時引っ越しているため会えていない。その親戚は任された仕事を面倒くさがっているのか、事務作業程度しか行わず、神社にはほぼ顔を出さないため、遥と私、そして精霊たちだけが神社で暮らしている状況だ。これで神社の役割を果たせているのかと問われれば、誰がどうみても首を横に振るだろう。
「……そうだね」
「……清?」
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