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「ただいまー」
お昼過ぎ。遥が作り置きしておいてくれた昼食を終え、洗い物をしていると、遥が帰ってきた。
「あ、おかえり。雪、大丈夫だった?」
「大丈夫じゃないわよー。外での撮影だったのに、寒いし天気悪いしで延期になったわ。まあ、そのおかげで早く上がれたんだけど」
不満そうに愚痴をこぼしながら、遥は沸かしたばかりのお茶を飲む。はぁー、あったまる~、と嬉しそうな遥の横顔は寒さで冷えたのか、白くなっていた。
「ところで玄関に見慣れない靴があったけど、誰か来てるの? 親戚のジジ……おじさん? ……にしては若い子が履きそうな靴だったわよね。……もしかしてー、男の子連れ込んじゃった? やるわねー、結衣!」
ここまで一息。ニヤニヤと楽しそうなその笑顔に対し、私は呆れて溜息を零す。
「わかってて言ってるでしょ。まぁ……連れ込んだ、ってのはあながち間違いでもないけど」
「あらやだ、この子ったらもう! 子どもだと思ってたけど、十六歳ならもう立派なオ・ト・ナってことなのかしら。きゃー!」
緊急事態だったとはいえ、承諾もなしに家に運んだという意味では、的外れと言うこともない。
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