縁の管理人 第1章

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 そう思って遥の妄想の一部だけに同意したのだが、どうやらそれがいけなかったらしい。遥はますます笑みを深くして騒ぎ出してしまう。 (誤解を招くような言い方するんじゃなかった)  ふざけているのだとわかっても、こうも騒がれるとうっとうしいものだ。両手で耳を塞いで遥に背を向けると、私は再び溜息を吐いたのだった。 「よ!」 「わぁ!?」  すると突然、視界に逆さになった人の顔が入ってきた。よく目を凝らして見れば、それは私の布団で休んでいたはずの清だった。 「清、起きてたの?」 「今起きたとこ。んで、あの子も起きたぞ」 「! どんな様子だった?」 「軽く錯乱してる」 「……は?」 「うーん、まぁ、来てみればわかるよ」  清の不穏な発言に一抹の不安が残る。 (でもまぁ、目を覚まして知らない場所にいたら、びっくりもするか)  だがそれにしては〝錯乱〟という言葉がいささか引っかかる気もする。普通なら〝混乱〟していると表現するのが適切だろうに、あえてそう告げた理由はなんなのか。 「ねぇねぇ、どういうことなのー? 教えて、結衣ちゃん」 「わかったわかった、説明するからとにかく行こう」  話に混ぜてほしい、とでも言うように遥が背後から覆いかぶさって来る。それを適当にあしらいながら、私たちは部屋を目指した。     
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